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 静岡県浜松市浜北区 会計事務所 

税務調査?税務調査の概要

1.「税務調査」って何!

「税務調査」とは、何でしょうか!サラリーマンであればほとんど方が経験がないでしょうし、会社を経営している、自営業を行っている場合でも、そう頻繁に経験するものではありません。通常は他の会社等のことは分かりませんので、比較のしようもありません。そうしたことから、多くの誤解がありますが、それを検証する方法も通常はありません。
しかし、「税務調査」は行政機関である国税庁(ほとんどの税務調査は実際には税務署の職員により行われます)により行われます。そんなことは当たり前じゃないかと思ってしまってはこの先の理解が進みません。税務調査は調査に来る調査官が自分の好き勝手にやりたいようにやっているわけではありません。

それでは「税務調査」の目的とは何でしょうか。国税庁はその使命として「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する。」ことを、そのために目標の一つとして「内国税の適正かつ公正な賦課及び徴収」を掲げています。その内容は、「納税環境の整備をし、適正・公平な税務行政を推進することにより、内国税の適正・公平な賦課及び徴収に努めます。」となっています。ここで下線を引いた「内国税の適正・公平な賦課」を行うために税務調査は不可欠なのです。では具体的にはどういったことでしょうか。

例えば、以下の図のように納税者は個人で事業を行っているAさん、Bさん、Cさん、Dさんしかいないとします。
収入、必要経費、所得金額は4人とも同じと仮定します(図上部:実際の内容)。
日本では「申告納税制度」というものを採用しています。どういった内容かというと、税金は法律に従って自分で計算して自分で納付するというものです。具体的には、個人事業者であれば2月16日から3月15日までの確定申告期間に税務署に対して確定申告書を提出して、3月15日までに計算した税金を納めるということになります。

ここで4人全員が実際の内容のとおり法律に従ってを正しく計算することができ、その内容どおりに確定申告をして、税金を納めてくれるのであれば、何の問題もありません。しかし、実際には、図のAさんのように適正に申告をする人もいれば、Bさん、Cさん、Dさんのように実際の内容とは違ったかたちで申告をして納めなければいけない税金を納めない人がでてきます。一番まじめに申告しているAさんが一番税金を納めるという事態が発生しているわけです。これ状態では「公平」とは言えません。公平に課税するということは、同じ状況にある人は同じように税金を納めてもらうことです。図でいえば、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんは同じ収入、必要経費、所得ですから、同じように50万円を納めてもらう必要があるわけです。

税務調査@

そこで「税務調査」が必要となってくるわけです。Bさん、Cさん、Dさんは適正に納税してもらう必要があるからです。ここで上図で仮定しているBさん、Cさん、Dさんの実際の内容と申告の内容の差について説明します。

まずBさんは、収入金額も必要経費も実際より少なく計算しています。収入と経費の両方を少なく計算しているのは、事業規模を小さく見せ、少ない所得でも税務署に怪しまれないためです。税務署では大量の申告データが集積さえていますので、事業の内容より収入に対する所得の割合はある程度把握しています。そのため、収入をごまかしただけではすぐにばれてしまう可能性が高いわけです。そのため、Bさんは、収入と経費をバランスよく減少させ、税務署から指摘されないようにしているわけです。

次にCさんですが、必要経費は実際の内容と同じですが、収入が100万円ほど少なくなっています。売掛金が計上されていません。入金が遅れていたため、Cさんも気がつかなかったものです。

最後にDさんですが、収入金額は実際の内容と同じですが、必要経費が100万円ほど多くなっています。Dさんの税法の解釈が誤っていたため、必要経費になると思い込んでいたものがあったためです。

税務調査A

Bさん、Cさん、Dさんはこのような状況にあるわけですが、税務調査があり、実際の内容が把握でき、差額の税金を納めることになった場合には、上図にもあるように、Bさんの場合には、追加で支払う所得税が40万円、重加算税が14万円、合計54万円(延滞税は省略しています。)となります。これらを表にまとめると以下のようになります。
  Aさん  Bさん  Cさん  Dさん 
 当初申告税額  500,000円 100,000円  300,000円  300,000円 
 追加税額(所得税)  0円 400,000円  200,000円  200,000円 
 過少申告加算税  0円 0円   20,000円 20,000円 
 重加算税  0円 140,000円   0円 0円 
 支払合計  500,000円 640,000円   520,000円 520,000円 
※実際にはこの他に延滞税がかかります。

このようにまじめに申告したAさんに比べて、うっかり間違えてしまったCさん、Dさんは、過少申告加算税2万円を、わざと間違った申告をしたBさんは重加算税14万円を追加で支払うこととなります。このように適正に申告している人とそうでない人と差を設けています。適正な申告をしてもらうためです。ただし、この状況になるためには、Aさん以外に調査を行うことと、その調査で実際の内容が適正に把握できる必要があります。

Aさん、Bさん、Cさん、Dさんすべての税務調査を行うことは税務署側の人的な資源が足りないためできません。
このような状況では、最初にBさん、次にCさん又はDさんに税務調査に行けば効率よく調査が行えたといえるわけのですが、そうするのは困難です。税務署に提出された申告書と決算書だけでは誰がどういった状況にあるのか分からないからです。税務署では様々な情報を収集しますが、確たるものはほんのわずかです。ですから、Bさん、Cさん、Dさんではなく、一番最初にAさんのところに調査に行くということも当然あるわけです。ですから、やましいところがなければ「税務調査」だからといってあわてる必要はないわけです。

今まで「税務調査」の目的をみてきましたが、では「税務調査」とは、何に基づいて行われているか、法律的な根拠をみてみましょう。ここでは身近な税金である「所得税」についてみてみます。「所得税法」では、第234条で次のように規定されています。

所得税法第234条(当該職員の質問検査権)
(第1項)
国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、所得税法に関する調査について必要があるときは、次に掲げる者に質問し、又はその者の事業に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することことができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該磁気的記録を含む。次条第2項及び第242条第10号(罰則)において同じ。)その他の物件を検査することができる。
(第1号)
納税義務がある者、納税義務があると認められる者又は第123条第1項(確定損失申告書)、第125条第3項(年の途中で死亡した場合の確定申告)若しくは第127条第3項(年の途中で出国をする場合の確定申告)(これらの規定を第166条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出した者
(第2号〜3号)省略
(第2項)
前項の規定による質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない

税務職員が「税務調査」行うことのできる根拠はこの法律になります。法人税等の他の税法においても同様の規定があります。条文に「必要があるときに」とありますが、これは税務職員が必要あると認めたときにですが、先程みたAさんに対しても質問検査権を行使することは当然あります。なぜなら、「必要あるとき=申告があやまっている」という関係にはないからです。Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの実際の状況を事前に把握できる手段を税務署が持っているわけではないのです。次に質問検査権を行使する際の具体的な手続き規定をみてみます。税務調査があった場合には、調査官は身分証明書を提示します。これは以下の規定によります。

所得税法第236条(身分証明書の携帯等)
国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、第234条(当該職員の質問検査権)の規定による質問又は検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人からの請求があったときは、これを提示しなければならない。

ここでは、質問検査権を行使する際には、身分証明書を携帯していなければならないことを規定しています。通常調査官から身分証明書の提示がありますが、提示がない場合には提示してもらう必要(全員分)があります。携帯していないと質問検査権を行使できないわけですから確認が必要です。また、万が一それがニセ調査官である可能性も全くないわけではないからです。

次にこの質問検査権を行使された場合にそれを拒否できるのか、ですが、通常できません。それは以下のような罰則規定があるためです。この質問検査権に係る調査は「任意調査」と言われますが、「任意調査」だから拒否できるわけではありません。これも先程の例でいえばわざと間違った申告をしたBさんが調査が来てもそれを拒むことができれば、実際の内容を調査して適正な状態にすることができません。その結果「公平」に課税することができませんから、こうなっていないと制度として成立しませんので、当然といえば当然です。ただし、調査の実施方法等全面的に調査官のいいなりになる必要はありません。例えば調査の日程ですが、仕事の都合などでその日はダメだという場合にまで調査官の言うとおりにする必要は当然ありません。

所得税法第242条(罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。(以下省略)
(第9号)
第234条第1項(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず若しくは偽りの答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避した者
(第10号)
前号の検査に関し偽りの記載又は記録をした帳簿書類を提示した者

2.必要知識@「更正・決定」

では質問検査権に基づき「税務調査」を行われたあとはどうなるでしょうか!一番最初の方で説明しましたが、日本では「申告納税制度」を採用しています。これは、納税者が申告した内容で税額等が法的に確定するということです。質問検査権という強力な権限があっても、そう簡単に法的に確定したものをくつがえすことができるわけではありません。以下の「更正・決定」の権限があって初めて「質問検査権」は機能することとなります。なぜなら、「質問検査権」の役割は「更正・決定」するための資料収集・証拠収集だからです。

ここで更正とは、申告により確定した税額を変更することになります。また、決定とは、申告より確定していない税額を決定することになります。でも税務調査を受けたことがあるけど「更正」なんてされていない、という方がほとんどだと思います。実際には、修正申告書が提出されて追加の税金を支払い、調査が終了しており、更正処分はほとんど行われていないからです。その関係を整理するために、税務調査の流れを簡単にみてみます。

以下税務調査の概要(しくみ)を図で表しています。税務調査ではまず対象の方の事業の概況等を聴くことになります。これは事業の内容が分かっていないと帳簿等をみての適正なものかどうか判断ができないからです。また、この段階で適正に処理がされていない箇所を発見する可能性もあるからです。次に実際の調査ですが、税務調査は日程が限られていますから、当然全てを調査することはできません。ポイントを絞って内容を確認していくしかありません。図で言えば調査範囲のうち一部のみを確認していくことになります。企業の規模等が大きくなればなるほどポイントを絞らざるを得ません。まずこの段階で調査官の調査能力の差がでてきます。

下図には更正可否と記載していますが、これは、×の場合には、適法に処理されていたため、更正の必要がない、○の場合には適法に処理されていなかったため、更正する必要がある、△の場合、調査官は適法に処理されていないと考えているが、資料や証拠が不足しているため、更正する必要があるのかどうかが判断できない状態として表わしています。

また、下図の△は2か所ありますが、1か所は修正申告書の提出依頼と更正処分に繋がっています。これはその後の調査の過程で証拠等が揃ったことを意味しています。もう一か所はその後の調査の過程でも証拠等が揃わなかったことを意味しています。

ここで重要なことは単に調査官が適法でないと判断しただけでは十分でないということです。適法でないと判断し、それが最終的に司法(裁判所)の判断においても適法でないと判断されると考えられるということが本来は必要です。ですから証拠等が不十分であれば、司法の判断に繋がる更正処分(行政処分)を行うことはできません。また、通常更正処分をする場合と修正申告の内容は一致します。ですから、手続きは煩雑な更正処分ではなく、修正申告の提出を行っているわけです。

税務調査B

国税通則法第24条(更正)
税務署長は、納税申告書の提出があった場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する

国税通則法第25条(決定)
税務署長は、納税申告書を提出する義務があると認められる者が当該申告書を提出しなかった場合には、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を決定する。ただし、決定により納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額が生じないときは、この限りではない。

上記規定の最後のところで「調査したところと異なるときは、その調査により」「更正する」と規定してあります。調査を行ない適法に処理されていないところがあれば更正しなければいけないということです。調査官が勝手に納税額を増額したり減額することはできないわけです。

3.必要知識A「各種加算税」

確定申告書を提出する期限の後に一度確定させた税額を増額させた場合には、その税額に対して、過少申告加算税というペナルティがかかります。税務署に指摘される前に自主的に修正申告書を提出した場合には、過少申告加算税(10%)はかかりません(国税通則法第65条)。
また、それが「仮装・隠ぺい」に基づくものであるときは重加算税(35%)がかかります(国税通則法第68条)。

国税通則法第65条(過少申告加算税)
(第1項)
期限内申告書(還付請求申告書を含む。第3項において同じ。)が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において、次条第1項ただし書又は第6項の規定の適用があるときを含む。)において、修正申告書の提出又は更正があったときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する
(第2項から第4項)省略
(第5項)
第1項の規定は、修正申告書の提出があった場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、適用しない

国税通則法第68条(重加算税)
第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(同条第5項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

4.必要知識B「修正申告」

国税通則法第19条(修正申告)
納税申告書を提出した者(その相続人その他当該提出した者の財産に属する権利義務を包括して承継した者(法人が分割をした場合にあっては、第7条の2第4項(信託に係る国税の納付義務の承継)の規定により当該分割した法人の国税を納める義務を承継した法人に限る。)を含む。以下第23条第1項及び第2項(更正の請求)において同じ。)は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その申告について第24条(更正)の規定による更正があるまではその申告に係る課税標準等(第2条第6号イからハまで(定義)に掲げる事項をいう。以下同じ。)又は税額等(同号二からへまでに掲げる事項をいう。以下同じ。)を修正する納税申告書を税務署長に提出することができる
(第1号)
先の納税申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に不足額があるとき。
(第2号)
先の納税申告書に記載した純損失等の金額が過大であるとき。
(第3号)
先の納税申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過大であるとき。
(第4号)
先の納税申告書に当該申告書の提出により納付すべき税額を記載しなかった場合において、その納付すべき税額があるとき。

5.事前対策が重要!

上記説明では国税組織についての詳細な説明をしていませんが、法制度だけでなく、組織内容等も税務調査に備えるために必要ですがここでは説明を省略しています。

税務調査には事前対策が重要といわれます。適法であると判断する資料・証拠が十分準備されていな場合はその不利益は納税者の側が受けることになるからです。また、社内体制の不備から適法に処理されていないということもあります(規模が小さい企業の場合はその傾向がある?)ので、社内経理体制を整備しておく必要があります。また、税法の規定には、様々な優遇措置等適法に税額を減少させることのできるものがありますが、それには事前に備えるべき要件がありますので、事前に準備をしていないとその利益を享受することができません。そのため、事前準備・対策が重要となるわけです。
適正な社内経理体制を整備し、その内容等を確認して、適正な納税(節税を含む。)を行ってもらうことが税理士事務所(会計事務所)の基本的な業務と言えます。実際にそうなっていれば税務調査のほとんど必要がないのですが・・・